親子関係、時間が経つことで浮き彫りになる関係性

LIFE-HACK

親子関係について悩む人は、多い。私もその一人だ。私は18歳の時から寮生活が続き、実家に帰ることはほとんどなかった。8年後、コロナの影響で失業。住む家も何もなく、実家に戻ってきた。

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【目次】



❚普通の家族


私の両親はいい人だ。酒もたばこもしない。

叩かれたり、声を荒げて怒ることも、私の記憶の中で本当にない。父は勤勉で真面目。帰りにお菓子をお土産として買ってきてくれることも多かった。最も、朝は誰よりも早く出て、夜まで働く営業マンだったのでいつも忙しそうだった。母は落ち着いていて、パートをしながら夜の決まった時間には、トランプやボードゲームを一緒にしてくれた。

不満は、なかった。

友達の親の話を聞くと私の知っている“大人”ではないことが、多かった。
私は、両親が“大人”でよかったと思っていた。私も大人になったら、両親のように大人らしい“大人”になりたいと思った。

そうあるべきだと思った。


❚私の生き方

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ひと一番自立心が強い私は、早く一人暮らしをしたいと思うようになった。両親は共働きで、家事全般を少しずつでも手伝うようになり、自然と学んでいった。家に誰もいないことはしょっちゅうだった。私は完全な鍵っ子。

一度もさみしいと思ったことがなかった。

成長するにつれて、周りが見えるようになり自分の抱いている感情にも敏感になっていった。家に帰ってくると皆、疲れている。私は、一日であったことや友達の話を親にしていた。母は、適当に私の話を流していた。母が私の話に興味もなければ聞いていない事もわかっていた。

話すだけでいい。
私が、話をまとめて話せないからだ。


親も疲れている。
理解できていた。
私の話し方の問題だ。
寂しくなかった。



惨めだった。




父が休みの日、父は家族で出かけること計画を立ててくれる。もちろん子供の意見を聞いてくれる。だが、大半は父の興味がある方向に自然と計画は変わる。父の思う“楽しい家族との時間”。


私は、楽しむ努力をした。

わかっていた。父の性格。こういう人だ。母も分かっているから今更何も言わない。私は、母に学んだ。黙っていること。楽しむこと。娘として、喜ぶ姿を見せること。気疲れとは違う、気持ちの悪いどんよりした吐き気のような気持ちが、いつも私の中にあった。吐き出す場所も居場所もない、私みたいな感情だった。

いつの間にか、我慢していた。

気を遣い、我慢して、諦めるようになった。

それが、私の生き方になった。


❚時間が経つにつれて浮き彫りになる

家を出てから、実家に連絡はほとんどしなかった。生活費の仕送りをしてくれたが、基本的に自分でバイトしながら節約生活をすれば成り立つので断っていた。迷惑をかけたくなかった。一度も実家に帰りたいと思ったことはなかった。寂しさもなければ、私の居場所でもなかった。私の中で、家族に対するあたたかいものは、一切なかった。

でも、家族に対するあたたかいものを持つ人に会うたびに、自分の冷たさに凍えそうになった。恐ろしく感じるようになった。羨ましかった。

連絡をしてみた。
「切っていい?」は、私に対する思いやりだった。
仕事や学業で忙しいことへ対する配慮だ。
わかっていた。両親は、いいひとだ。



わかる。理解できる。

大丈夫。
冷たさは、更に温度を下げていく。


実家に戻って、何度も家を出る準備をした。私には居場所が必要だった。ここではない、両親がいない場所。私が心を開ける場所。ここは、私の居場所にはならなかった。貯金を崩しながら、生活費を入れながら、実家で生活していることは私を追い詰めた。両親に迷惑をかけている。邪魔な存在を受け入れている可哀そうな人達。


早く、はやく出ていかないと。

私は、この人たちの汚点なんだから。

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自分が嫌いだ。
だから、私は、私を産み育てた存在までも否定したかった。
両親が何か悪いわけではない。家族が嫌いなわけではない。
私にとっての家庭は特別、愛を育む場所ではない。
我慢して諦めることを学ぶところだった。そうでない家庭も知っている。
想像できない悲惨な家庭もある。愛に溢れている家庭もある。

それは、親によって変わる。人によって変わる。
子供は、何も選べない。生きることも生きないことすら選べない。

私は、私の中の冷たさを知った。



❚伝わる愛のカタチ



親子の関係は様々で、理想も様々。伝わらない愛は、エゴになり、無なんだ。

ただ、愛は伝わってはじめて“愛の関係性”ができあがる。親子関係は、年月が経つにつれて、この関係性が浮き彫りになる。親子の関係性だとしても、人と人との関係性に変わりはない。どちらか片方の努力や働きかけで、すぐに状況が変わることはない。ただ、キッカケになる。何がキッカケになるかも、いつ何が変わるかなんて誰もわからない。目の前の相手かもしれない。自分自身かもしれない。

そんな一瞬で、“一人の人”の考えや心が変わるわけは、ない。

簡単なことではない。
逃げたくなくし、離れたくなるもんだ。


ただ、努力できる人は、親子関係だけではない、他のところでも努力できる人になる。
変えようと奮闘するのではなく、生きていることを受け入れて、共に生きる人たちの存在を受け入れる。


❝トキ❞をまつ。❝トキ❞を満たす。
目の前の大切な人が感じる愛を、伝えられる“大人”になりたい。

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