小学校の入学式
染めたように真っ黒くろの髪
ついでに、日焼けでこんがり小麦色肌
おかっぱ、前髪の厚さは後ろ髪の厚さと大差ない
前髪と後ろ髪の境目は、かなり後ろのほうにある。
つむじの場所が不明すぎて、探すのは、難易度高め。
身長平均よりずっと小さいので、
成長期に乞うご期待!!!
安全ヘルメットな頭をした私は、
教室の前の廊下で、優しそうなお姉さんの横に黙って立っていた。
多分、六年生。
うん、名札に六年生って書いてある。
前のお姉さんよりかわいい人で
私は、ちょっと勝ち誇った気分になった。
お姉さんたちは恥ずかしいのか
特に、私たち新入生に声をかけるでもなく
時々、チラチラ様子は見るものの…
同級生同士、楽しそうに話をしていた。
誰もかまってくれるわけでもなく、
廊下に立っているのは、ひどくつまらなかったので
私は、ブスっとしたまま
周りをキョロキョロ見回していた。
(六年生は、みんななんてデカいんだ。)
「トイレに行っておきましょうね。途中でトイレにはいけませんよ。」
そろそろ式が始まるということで、
先っぽから大人が叫んでいる。
「トイレ行く?」
お姉さんが聞いてきた。
私は、首を横に振った。
トイレの気分ではなかった。
そう。と微笑み、
またお姉さんはそっぽを向いた。
隣のお姉さんは他の列から来た、
少し背の高い同級生らしいお姉さんと、また話し始めた。
「トイレ行かないって?」
背の高いお姉さんは、私の顔を覗き込んできた。
「うん、行かないって。」
「そっか…途中で行きたいとか言わなきゃいいけどね。」
…なんだがバカにされた気分だ。
もう小学生なのに。ちょっと大人なのに…
小学生になったんだぞ。今日からだけど。
睨んどこう。
キッと睨んどいた。
目が合った。
「…ね!この子、目おっきいねぇ!
あとさ、なんか、あれ、なんだっけ?
あの…あれ!昔のさぁ…何、あの…ぽっくり?
違う。
…あっと、あ!こけし!こけしみたい!」
「「あはははは」」
お姉さん二人共、
わかる!でしょ!確かに!!あはは!ウケる!
とか言いながら笑っている。
なんて、お姉さんたちだ!こけしが、何かわからないけど!私のことバカにしてる!わるーい!いけないんだ!こけしってなんだ!きっと、たわしの親戚か何かだ!もう、絶対!仲良くしない!
また、睨んでやった!
でも、平均よりずっと低い身長の私の睨みは
私の分厚いヘルメット型前髪のせいで
威力半減
攻撃力低すぎた。
二人とも先生がそばに来るまで、
ずっっっと、
ケタケタ笑っていた。
私だって、「もちもの」*に投げていいものがあれば
投げてやったのに、投げなかった。
*「もちもの」
“こうげき”“もちもの”“にげる”等の選択肢があるゲーム
悪いことだと思ったので、
投げなかったのでは、
ない!
せっかくお母さんが、新しく買っくれた
“キティーちゃんのハンカチ”も、
年に、何回か会う
大好きなお餅のおばちゃん(お餅をくれるから)がくれた
“いい匂いのするティッシュ”を、投げたくなかっただけだ。
コメント